病は気から?(2024年5月・京都・清聚禅院)

 晴天なのに気の重い日曜日である。早朝から雑巾を手に、家から近い田んぼの中にある公民館へ。集落の清掃活動である。公民館はまだ新しく、コロナもあり、あまり使われていない様子だ。あまり汚れているところもなさそうだ。窓や床を30分も拭き拭きして、作業は終わってしまった。  その後は無造 […]

同行多数は心強し(2024年3月・葛城修験)

 修験の集合は、辺境で絶望的に朝早い。京都にある最寄り駅は朝5時前の出発になる。 朝8時過ぎにJR和歌山線の粉河駅に到着。修験装束の方と合流して、車で粉河寺に送ってもらった。  この日は晴天。巨大な朱の山門が出迎えるてくれる。土産物屋の前に、もう参加者が集まっている。西国三十三カ […]

精も根も尽きる~初修験(2023年9月・葛城修験)

 「初めての方でも大丈夫ですよ」  甘い言葉にほだされてしまった。 大阪で映画「修験ルネッサンス」を鑑賞した。トークショー後、初めて話す修験者が、修験への参加を勧めてくれた。一度は体験してみたいと思っていただけに…これを逃す手はない。 普段は和歌山で会社員をしているという花井師に […]

他流試合(2023年7月・京都・東福寺)

40度近い暑さが続く京都であるが、この日はおだやかな暑さである。なんせ、朝6時だから。東福寺の日曜座禅会に初参加した。 京都駅を南下し、寺の近くの来ると、道が急にせまくなる。一方通行の小径を進むと、緑に囲まれた門が見える。車でくぐっていいものかと、そろりと進ませると、警備員さんが […]

花と酒と空海(2023年4月21日・奈良県番条町)

見つけてしまった。自称「ミニ遍路狂」の血が騒ぎそうなお遍路を! 奈良県に番条町というかつて栄えた環濠集落がある。南北に流れる佐保川の東にそって作られた集落で、中世に外敵からの自衛のために堀がめぐらされている。江戸時代末期から行われているのが、くだんの「番条のお大師さん」という風習 […]

インバウンドから新札へ(2023年4月・京都・清水寺など)

基本、桜のシーズンに観光寺院には行かない。ましてや人気の観光地などもっての他。しかも週末以降は雨予報ときている。泣く子も黙る京都観光のハイシーズンなのだ。 ただ事情があったのだ。友人の韓国人が訪ねてきた。何度も日本に来ている彼となら、花見の季節に知れた観光地には連れて行かない。だ […]

空海が見た風景(2023年3月・奈良・空海寺、東大寺、大安寺)

少し気になっていた。駅に置いていた奈良県の観光パンフである。特集の1つに「空海がいた奈良」みたいなものがあった。京都や高野山のイメージが強いけど、確かに奈良にもいたよな、空海さん。 そのなかに初めて知る「空海寺」というものがあった。そのものズバリなのだが、それだけに後にできたんだ […]

チクッと、鋭い話(2023年3月・香川県・海岸寺)

春と秋になると讃岐が呼んでいる。勝手にそう思っている。3月25日は多度津の海岸寺で春のミニ遍路が行われる日である。 あいにくの雨予報。しかし、弘法大師のご加護か、それともMさんのてるてる坊主のおかげか。曇り空で雨はまぬがれた。それゆえ参加者は昨年に比べて控えめだったか。 いいこと […]

車遍路雑記(2023年2月・香川の札所巡り)

2、3で限界。4つ廻った日には「自分を心底ほめてあげたい」と思う。1日における寺参りの数をいっている。それが半日で6カ寺である! VIPの四国八十八箇所巡りに同行。正直、ハイスピードの寺参りは初体験で慣れていない。ユングがイタリアの歴史あふれる町並みを見て、昏倒しかけたというそん […]

禅僧が語る歩き遍路(2023年2月・香川県・喝破道場)

高松にある座禅道場「喝破道場」をたずねた。2度目の訪問は雨の降る寒い日だった。JR鬼無(きなし)駅には、防寒チョッキを着た野田住職が待っておられた。 「電気自動車だけど、電気が切れそうだから、暖房は切らせてもらうね」 日産の電気自動車は、「中古をもらい受けた」と言うように年期が入 […]

密教と戒律の恐るべき融合(2022年10月・奈良・西大寺)

僧侶や在家信者が守るべき「戒」について知る重要な2つの寺院がある。いずれも奈良にある。 まずは唐招提寺。 759年に唐から来た鑑真が開いた。詳細は、井上靖が小説「天平の甍」で扱っている。その甍は現在も宝物館でみられる。地肌の土がけばだってはげている。困難な渡海で失明した鑑真のごと […]

ここにも地獄があった(2022年8月・石川県能登半島)

ヒッチハイクというのは、もう死語なのだろうか。 高校時代、青春18切符を利用して大阪から北陸まで旅をした。お金がないから道路で、手を挙げてヒッチハイク。止まったのは、当時人気の青いHondaの「シビック」。後部座席には、おもちゃのガチャガチャが大量に積んであった。営業の途中だった […]

ブータンのランキング(2022年10月・鳥取県八頭町)

鳥取でデイープに仕事されたこともあるYさんがふともらした。 「ブータンのプリンセスにも会ったんですよ」 プリンセスだけでもうらやましいが、仏教国ブータンとなれば、なおのこと羨望の極みである。なんでも毎年「やずブータン村まつり」なるものが鳥取県八頭町のお寺で開催されているという。 […]

虚しく往きて実ちて帰る~小豆島の夏至観音~(2022年6月)

「思い立ったが吉日」という。土曜に行こうか、日曜に行こうか思い悩んでいた。あまり悩まない質だが、こればかりは少し悩む事象ではある。瀬戸内海に浮かぶ小豆島にある島遍路に行く日のことだ。 1番札所に、夏至観音がある。正確にいうと現れる。夏至の前後10日ぐらいに、岩に当たる光の加減で、 […]

リベンジ遍路(2022年6月)

1カ月ぶりの京都は仁和寺である。「リベンジ遍路」なる言葉があるのかは知らぬが、捲土重来を期して、戻ってきた。先月は雨で寺の裏山で開催される「88カ所ウオーク」が中止であった。打って変わり、6月5日は気持ちいいぐらいの晴天である。山門には「本日開催」の朱文字が踊っている。 仁和寺の […]

ミニ遍路という誘惑~後編~(2022年4月)

晴れ男だったはずが、最近めっきり雨男である。しかも今日という日は、1時間ごとの天気予報で「曇り」をチェックしたというのに!家に戻り、濡れながら洗濯物を取り込む切なさよ。悔しくて、天気予報に関するサイトをのぞいた。天気予報の的中率は8割強という。へぇ、結構やるやん。スーパーコンピュ […]

ミニ遍路という誘惑~前編~(2022年4月)

えらいところに来てしもた…。岡山市北区大内田とある。市内なのでそこそこ都会だろうと高をくくっていた。カーナビが示す道路の先は、車がすれ違えないほどの小径が集落に伸びている。車では入れんやろ…。自らの運転技術も考慮して、手前の田んぼ脇に駐車。後にその決断が正しかったことを知る。小径 […]