10月10日は3連休の休日。
メリケンパークを目指した。
目的は「インドメラー」なるイベント。簡単にいうと、インド人が観光客のために企画するお祭りである。
パンフには「西日本最大のインドのお祭り!」とある。
そんなん聞いたことないと、侮るなかれ。
神戸は外国人の街として知られるが、在日インド人の数では日本有数の都市とか。8月の日経の記事によれば、神戸市だけで1000人強のインドの方々が生活している。ちなみに東京都には1万人弱で、兵庫県では1500人強という。そんなうそつかないインド人らが、ズラリと屋台をならべ、香辛料の魅惑的な匂いを醸し出せば、日本人も集まるさ。
われわれもナンに野菜カレーをつけ、タンドリーチキンをほおばった。うまいと絶賛するほどではないが、空きっ腹にはそれなりにパンチがあった。すると、サリーをつけた娘さんがドリンクを差し出してきた。
おお気が効くなとおもっていたら…。
「カレーに日本酒は合うでしょうか?」
これにはたまげた。カレーに日本酒なんて聞いたことない。
だが、遠慮なくちょうだいすると辛いカレーにお酒は意外に合う。
聞けば、酒どころである三宮のお隣の灘五郷のPRだという。
このPRが成功すると、灘のお酒屋さんはカレー屋に営業をかけまくるのだろうか?
空腹を満たすと、ブースめぐり。これが実に楽しい。
フットマッサージにはひかれたが、2時間待ちにはつきあいきれない。他のブースに目をやると、祭壇があり、人が手を合わせて拝んでいる。はて? と近寄るとあのサイババのポスター。
そういえば、彼は今年なくなったんだっけ。
「サハジャメディテーション」とある。
HPによると、瞑想を実践するNPOらしい。
あまり内容はよく知らないので、何ともいえないが、
インド的なオーラは十分堪能できる。
「インドメラー」の懐は深い。というかスポンサー?
お隣には政府観光局のブース。
「インドはカレーだけじゃありません」とのキャッチフレーズには笑った。
そうです。インドは仏教の聖地です。
仏教僧が学んだとされるナーランダ、釈尊が入滅したクシナガラ…。聞いただけでゾクゾクする。
パンフの裏側にはこうあった。
今から2,500年前に
地上をさまよい歩いた一人の王子が
解脱を果たした説法者へと
驚くべき変貌を成し遂げた
ブッダの足跡
文学的表現なのか、単に日本語を理解しきれていないのかはわからないが、それなりに心に迫る文言ではある。
こころの聖地インド…。死ぬまでに行きたいなあ。
ひときわ大声がする方を見ると、「インドジンドットコム」とある。
絶妙のネーミングだ。
やっているのはたたき売り。インドのレトルト商品が3個1000円のところ、6個1000円で売っている。飛びついた。
インドジンの商魂を見た思いだ。
まあ、なかなか楽しいイベントを見させていただいた。
神戸&インド人、なかなかやるやんけ!
そして日差しが優しくなっていくころ、海手から山手に上がった。
三宮の繁華街を越えて、異人館が集まるところから、西寄り。
異人館ではない。
学校?
いやいや、ここはもともと外国にわたる日本人移民が
逗留していた宿舎だという。
当然、今はきれいになって、1Fは移民博物館に。
上のフロアは、芸術家に開放されている。
神戸市海外移住と文化の交流センターというらしい。
昔はブラジルなどの海に渡ろうとする日本人移民たちが、
ここで船を待っていたという。
何を隠そう私の専攻は移民史である。
1900年前後に、日本政府は外貨獲得のために、
ハワイやフィリピン、ブラジルに移民を送った。
いわば夢のあと…といったところか。
だが、それが見事にリニューアルされている。
廊下には、芸術作品が展示されており、
各部屋は芸術家のアトリエになっている。
そこで、ブラリと無人のアトリエにお邪魔した。
純白の大きな布に蛍光色で高松の名所が書かれている。
よく訪れた街なので「懐かしいなぁ」と思って見ていると、
作者が帰還。
「高松の出なんです」という。
聞けば、彼は日産自動車のパンフにも自作を載せるほどのアーティストだという。
久々に触れるアートを眺めていると、
「今こんなん作ってるんです」と制作中の作品を見せてもらった。
「ええやんか!」
心をわしづかみにされた!
いいでしょ!
布袋さんやお堂やら。
これがどこかわかった人は相当のお寺好き。
右に玉をくわえた龍がみえるでしょう。
あれがお堂につられているのです。
開版(かいぱん)といいます。
これを叩いて、学僧に食事の時間を教えるのだといいます。
私もここにいったとき、この写真を撮りました。
答えは宇治にある万福寺。
日本には珍しい黄檗宗のお寺です。
中国の教えを色濃く残した禅宗のお寺です。
11月19、20日にアートのお祭りが行われるらしい。
http://manpukuji-en.moo.jp/
「万福寺芸術祭」
つまり、そこでこの巨大作品が展示されるのだ。
どこに飾るんやろか?
それは行ってのお楽しみ。
ちなみに、このアートは大体1カ月ぐらいかかってつくるそうです。
秋はお寺もお祭りです!