また福島を想う季節がやってきた。
8月6日。
われわれMONK衆が福島県富岡町の浄林寺に、笑い仏を届け、 開眼法要をしていただいたのが2015年の8月6日であった。 浄林寺の早川住職は、放射能被害で町を離れた檀家さんのために、 原爆が広島に落とされたその日に、施餓鬼法要を行っている。 2017年も無事に法要が営まれた。
「昨年同様に、大勢の方が集まっていただき、法要を行わせていただきましたよ」
早川住職は、腹の底から立ち上がる野太い声でおっしゃる。
私は法要の日にはうかがえなかったが、翌週に浄林寺を訪れ、笑い仏に手を合わせた。 1年ぶりの対面にふと思う。
「笑い仏さんは少し太ったんじゃないか?」
ご住職が「みなさん、なでていかれるよ」とおっしゃっていたので、幸せ太りなのかも。
ご家族に町を案内してもらった。
「最近、新しい道ができるので、迷ったりするんですよ」
宿泊ができなかった避難地区指定が解除され、復興の緒についたあかしなのであろう。 ただ、富岡町の復興は複雑な様相を見せているように思えた。
津波で無残にやられた中華料理屋はもう解体されて、それがあった位置が思い出せない。 しかし、依然まちはガランとしていた。
「もうすぐ駅に鉄道が来るんですよ」
見れば、汚染土が積まれていた駅周辺に、駅舎の鉄骨が組まれていた。
そして、ホテルも新たに開業するのだという。
「みんな流されたのに、またここに作るんですね」
住民の思いは複雑である。
復興は急務だが、地元の意志そっちのけの復興には疑問符がつく。
10月21日にはこの富岡駅まで鉄道が通る予定だという。 2019年には第1原発横を通る浪江駅までが開通するという。
それが何をもたらすのか。
1年後、またこの土地は変わり果てているのであろう。
*笑い仏を拝まれる際は、浄林寺にご連絡ください。
福島県双葉郡富岡町下郡山下郡26
☎0240-22-3492(早川住職)