川島さんのアトリエに仮住まいさせてもらっておる。
ここは2年ほど前に、開かれたということじゃ。
柔和なようで、仏師独特の鋭い眼光。
職人然としたお方だが、ではなぜ仏師になられたのであろうか?
「僕、昔は銀行員をやっていたんですよ」
なんと!?華麗なる転身。でもそこまでならば、たまにあるかもしれないお話。
ここからが、川島さんのすさまじいところ。
「銀行以外の世界を知りたいと思ってね。
日本全国のユースホステルを渡り歩いて、南は九州からずうっとね」
あるとき、「北海道で冬を越したい」と思い立ったという。
そこで、阿寒湖近くのアイヌの村に転がり込んだ。
そこで、アイヌの方は、冬の内職で木彫の土産を作っていたという。
「君もやらんか?」
言われるままに、小さなブローチなどを彫った。
これがうまいことできる。
文様の複雑なアイヌ彫りも簡単に作れてしまう。
「それからだね。しばらくそこで働かせてもらって。
そうしたら、もっと大きなものを彫りたいと思ったんだよ」
これが仏師・川島さんの原点だ。
もちろん、銀行員を辞めて、この世界に至るまでは、もっとどろどろとした心の葛藤もあったに違いない。
じゃが、改めて仏縁の摩訶不思議さを感じた。
アトリエでは、当然川島さんの作品も置いておるので、
そちらも合わせてご堪能あれ。
アトリエ 木游(もくゆう)
千葉県成田市田町318―1
電話080―6318―4426
*成田山東門を目指してお越し下さい