アトリエ木游(新勝寺)③~アイヌの血脈~

川島さんのアトリエに仮住まいさせてもらっておる。
ここは2年ほど前に、開かれたということじゃ。
柔和なようで、仏師独特の鋭い眼光。
職人然としたお方だが、ではなぜ仏師になられたのであろうか?

 

「僕、昔は銀行員をやっていたんですよ」

 

なんと!?華麗なる転身。でもそこまでならば、たまにあるかもしれないお話。
ここからが、川島さんのすさまじいところ。

 

「銀行以外の世界を知りたいと思ってね。
日本全国のユースホステルを渡り歩いて、南は九州からずうっとね」

 

あるとき、「北海道で冬を越したい」と思い立ったという。
そこで、阿寒湖近くのアイヌの村に転がり込んだ。

 

そこで、アイヌの方は、冬の内職で木彫の土産を作っていたという。

 

「君もやらんか?」

 

言われるままに、小さなブローチなどを彫った。
これがうまいことできる。

 

文様の複雑なアイヌ彫りも簡単に作れてしまう。

 

pic 19 mokuyu shinshoji ainu bori

 

「それからだね。しばらくそこで働かせてもらって。
そうしたら、もっと大きなものを彫りたいと思ったんだよ」

 

これが仏師・川島さんの原点だ。
もちろん、銀行員を辞めて、この世界に至るまでは、もっとどろどろとした心の葛藤もあったに違いない。
じゃが、改めて仏縁の摩訶不思議さを感じた。

 

アトリエでは、当然川島さんの作品も置いておるので、
そちらも合わせてご堪能あれ。

 

アトリエ 木游(もくゆう)
千葉県成田市田町318―1
電話080―6318―4426
*成田山東門を目指してお越し下さい

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