よう、空石!
佐野か。俺も多くは読んだことはないのやが、何か「透徹した怨念」のようなも
のを感じる取材をしよるな。喩えれば、暗闇の向こうからまじろぎもせずに
じーっと光る二つの目を感じさせる。あれはプロの仕事やな。
そうか、中日がキャンプ地を置く場所やったのやな。「キャンプ」は「軍の駐屯
地」を同時に意味する。因縁やな。金城氏のことは聞くが、恥ずかしながらそ
の人生は知らんわ。強烈やな、肉親を撲殺とは。本土人は詰まらんdetailsに拘
泥した民事裁判をしてる場合やないで。「沖縄ノート」を書いた大江健三郎の
ような感性を持った若い書き手はおらんのか。
(最近興味を持って評価する書き手に年配ではあるが高橋源一郎がいる。彼の血
脈も戦争と強く繋がっており、それを負いながら追う彼のルポは中々によい。)
そういえば、初代ウルトラマンやウルトラセブンで極めて骨太な脚本をガキに叩
きつけて絶賛された金城氏も、沖縄を背負った作家やったな。彼の脚本には宇
宙人という「異邦人」への強烈な愛があり、それが必要であった場合でも、ウル
トラマンたちは泣きながら倒す。東京における沖縄人と しての自身を反映させ
てもいるのやろうな。深いで、円谷は。
ガマでの抵抗時の「適切な情報」の有効性な。まさに生死を分ける情報やな、そ
れ。opennessとdiversityがいかに大事で、 closed communicationがいかに死地
を準備するかが手に取るように見える。ほんまもんの悲劇やな。本土人の感覚で
は考えられないな。大空襲の被害は知るが。
ちなみに複雑なのが、closed communicationの最たるものが戦争だったのは過去
の話で、今は「opennessと情報量の多さ」が戦争の勝敗を決める。つまり、広く
情報を拾ってopenに外交を開いているからこそ、「勝てる戦争」が分かり、意
図的に打って出てるのやな。「正義」など奥底のmotivationには毛ほどもないやろ
う。完全に、政治経済政策の一部としての「狙ってやる戦争」よ、現代のは。
アメリカを見ればよく分かる。opennessとdiversityをあんだけ持ってるのに戦
争をする必要など政治的にはあんまない。純粋な戦闘なら負けないから。なのに、あん
だけ戦争に首を突っ込む。あれは完全に世界地図の中での搾取を目的とした国際
経済戦略やと思うわ。上手なプロパガンダで必要悪を思わせているが、必要で
すらない悪や。
BerkeleyやStanfordのヒッピー文化エリートたちが経営するGoogleは既にこの辺
に気付いている。彼らの圧倒的なopen, shared情報戦略がどこまでこの辺りを
水平化するかに俺は期待している。もっとも、米国の軍事周辺産業の力を強烈や
から、目に見えての反抗という形はとらず、資金も提供されてしまうだろうけど。
やはり、沖縄が持つ複雑な状況というのは想像以上やな。なるほど、補償費が出
るため靖国での軍属祀りに声を上げないというのは、しごく当然の市井の人々
の声やろうな。これは知らんかったわ。
必要じゃないのにWASPを中心に肥やすために米国が「経済戦略として割り切っ
て」起こしてる戦争に、「愛国」などの湿っぽい情緒で勘違いし て追随してい
るのが、安倍政権もそうやが、いまの日本の右傾化世論よ。あほかと。米国を舐め
るなと。「お兄ちゃん(米国)と一緒に平和を守る弟 (日本)」てか?大丈夫
か政治家の脳みそ!兄ちゃんは儲かるからやってるだけやで、弟よ。
ちょうど、親が家の都合のためだけにくっつけた若人の縁談が、何かしらん間に
ロマンチックなものにすり替えられている滑稽なメロドラマに似る。日本人が
ロマンを感じるのは勝手やが、米国は「お気楽な連中やでぇ」と笑ってる。実際、米
国の普通のインテリは日本国憲法の改憲なんて気にも してない。「ええな、お
前らの憲法めっちゃユニークで」て言われるぐらいや。「軍需はともかく、普通
の産業は戦争せえへん方がよっぽど儲かるからなぁ。日本見てたらよう分かる
やん!」て何度あちらで言われたことか!
安価な大正ロマン小説みたいなロジックで安保法案語る暇あったら、ほんと、ま
ともにあの戦争を記述する努力をして欲しいよな。その際には、ちょうど医師
の手術における無過失補償制度のように、「戦後補償」や「戦争責任」などとは
切り離した形で、純粋に淡々と、佐野の暗闇の目のようにあったことをあった
と連ねて行って欲しい。それらを補償裁判のネタにはせんと、一筆書いてもらっ
たらええからよ、左翼系活動家には。
戦後が終わってる気配なんてせんうちから改憲とか、どんだけせっかちやねん
な。まだトイレの個室に入っただけや。便座にすら座ってないわ!ちゃんと糞
してけつ拭いてから、そのトイレの良し悪しを語れや。ほんと、そう思う。