#28.「聖天句会
No.22 〜 お寺を出てぶらり吟行の巻 06年
3月の聖天カフェ
今回は、お寺さんと併設された保育園の卒園式と日程が重なったため、吟行句会ということになりました。野田界隈を皆さん歩かれながら、徒然に俳句を見つけてこられたご様子。風流でございます。
残念ながら、我々MONKフォーラムからは、全員の日程が合わずに欠席でした。ただ、このイベントに先んじて、円瓢と空石はお互いの嫁さんを引き連れて、4人で仲良く東京の端っこにある青梅(おうめ)市で著名な梅を見に行っておりました。爆笑エピソード満載の小旅行でしたが、その報はまたどこかで…。
モラ坊円瓢(MONKフォーラム)
天保5年の狛犬(福島天神社)。とても可愛らしい表情をしております。主宰撮。
ちなみに、このような「ちょっと横にヘシャゲタ」愛嬌のあるぶちゃいくな狛犬のことを「ゴンタ」と呼びます(我らが勝手に)が、その代表格は京都は一条の橋にある、今では著名になってしまった「安陪晴明神社」の巨大狛犬。これこそは「ゴンタ」の名に相応しいと、誰もが納得の逸品です。
「正しい」拝み方は、「人目を憚らずに全身で抱きつく」のが正解。心が通じ合うことでしょう。皆さんも一度やってみては。ただし、同行者を厳選してから。
こ、これは…!ただの喫茶店ではありませぬ。この界隈では有名な「仏像と出会う茶店」は、熱心なファンも多い隠れた名店。もちろん我々MONK連の「一度は行きたい空間」リストにその名を連ねております。…「雲の峰」諸氏には先を越され、大変無念です。
集められた仏像には唸るような名品も多く、マスターの、趣味を大きく逸脱するこの計らいに、思わず合掌。
第20回 聖天句会報
平成十八年三月十八日
会場:野田界隈吟行
指導:朝妻 力
主宰
野田銀座通り・藤影神社・春日神社・福島天神・下福島公園・野田新橋筋商店街吟行
★ 主宰特選 ☆ 入選(添削含む) ◎ 互選特選 ○ 互選入選
主宰詠
ひ紋数晴 宮の名に往時を残し藤芽吹く
ひ紋と 庭燎と記す神燈春の雨
数と晴 春燈や店に唸れる焙煎機
ひ数 春寒を来て濃ぜんざいすすりあふ
晴 石組は藤庵移し春深む
ひ紋晴数★ 雨けむる野田に紅濃き藪椿 伊藤 とら
ひ★ 挽く豆の香ゆたかや春燈 中川 晴美
と★ しゃぼん玉吹きの来てゐる店開き 原 茂美
★ 街なかの祠巡れる入彼岸 中川 晴美
ひ数☆ 八方をビルに囲まれ藤芽吹く 早川 紋子
紋☆ 細雨や白もくれんの眩しくて 中川 晴美
と☆ 春泥を跨ぎて歩む邸跡 小川ひさこ
紋☆ 鉄条網の如きいてふの芽吹きをり 伊藤 とら
晴☆ 桜茶を一人咲かせて街は雨 藤末 数恵
数☆ 旅鞄ぶつかり合ひて春の駅 斉藤 摂子
☆ 高機の杼のつややかに春灯 原 茂美
☆ はくれんははくれんとしてある真昼 伊藤 とら
☆ 開運の鐘てふを撞く春の昼 原 茂美
☆ 囀や雨のそぼ降る天神社 小川ひさこ
☆ 下萌や注連太々と稲荷神 中川 晴美
ひと△ 春の水湛へ野田藤ゆかりの地 中川 晴美
紋と△ 囀や宮覆ふほど枝伸びて 藤末 数恵
晴△ 束の間を空に舞ひゐる涅槃雪 早川 紋子
数△ 春雨や天保五年の狛犬に 小川ひさこ
晴△ 昼の雨上がりのち晴沈丁花 伊藤 とら
と△ 白椿表札厚く人住みて 小川ひさこ
△ 夢を追ふごとく見つむるしゃぼん玉 斉藤 摂子
△ 芽吹く木に雫の並ぶ寺の雨 早川 紋子
△ 初蝶や小橋に立ちて人を待つ 斉藤 摂子
△ 石仏にまた小風来る入彼岸 藤末 数恵
△ 初桜昼過ぎて野田雨となる 小川ひさこ
△ 思ひ出の一花供へる彼岸かな 斉藤 摂子
△ 初蝶の飛んで止まりて消えにけり 原 茂美
△ 七彩をちりばめ飛べる石鹸玉 早川 紋子
△ しゃぼん玉園児の声の明るくて 藤末 数恵
△ 撮られゐる妹と姉に初蝶来 早川 紋子
と 初吟行白梅雨にちりそめし 藤末 数恵
紋 落椿の神秘とどめて水底に 伊藤 とら
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本日は了徳院の保育園が卒園式のため吟行句会となる。一度ゆっくり福島界隈を歩いてみようということで福島ご在住の早川・藤末さんのお二人にご案内役をお願いしました。
ここは野田藤発祥の地でそのルーツを探ろうと野田銀座通り→藤影神社→春日神社→福島天神→下福島公園などを経て野田新橋筋商店街というコースを巡る。
今日の小雨は藤の芽吹きを促す雨となりこの春日神社の藤も美しい花を咲かせてくれることでしょう。
天満宮の梅は早や散り初めていたが、香は馥郁と放っていた。狛犬の何とも愛くるしい姿に思わず微笑み返してしまう。商店に寄り道もしながらゆっくりと新橋商店街に戻る。
句会は喫茶「篝」の予約席「談話コーナー」にて。小雨の中を歩き少々寒かったこともあり、席に着くや否や温かい善哉を啜り合うという、何とも和やかな初吟行句会となる。
今回MONK/モンクの皆さまが都合が悪く欠席というのが何とも淋しいものがありました。またみなさんと揃っての吟行が出来ますことを楽しみにいたしております。
中川晴美(雲の峰) |
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