#17.「聖天句会 No.12 〜プチ香道!?の巻    05年 4月の聖天カフェ


今回のカフェは、桜がはらはらと散り次ぐ晩春の境内での野点。そのあと伽羅、沈香、白檀の三種の香を聞き分けるという何とも雅なお作法を宇佐美会員から教わりました。京都にわざわざ出向いて学ばれたそうです。
                                    中川晴美(雲の峰)
 様々な香の種類

木片は、香木でこれを小さな木炭で加熱すると、芳しい香りを発する。 参加者は、これを3種類(香りを)聞いて(だから聞香という)、それぞれの香りを当てるという遊び。 室町時代から、貴族の間で興隆を極め、エスカレートして、高価な金品を賭けるようになり、ついには幕府から 禁止令も出た。江戸時代に、儀礼が固定化し、今にいたっている。



匂いを「聞く」のですね…



お墓参りなどによく行かれる人は、「これは白檀かな」とさらり。 はじめてのひとは、ただただ「いい匂いやなぁ」 花粉症の参加者は「何にもわかりません」とはかわいそー。 和気あいあいと聞香を楽しみました。



  

第12回 聖天句会報
                  平成十七年四月十六日
                  会場:福島聖天了徳院
                  指導:朝妻 力 主宰


★ 主宰特選 ☆ 入選(添削含む) ◎ 互選特選  ○ 互選入選

○○○○○○★ 日当たりし野点の席に飛花落花      中川 晴美

○◎◎★ 古の春もかくやと香聞きぬ        伊藤 とら

○◎★ こきみよく抹茶吸ひきる花の陰      和田きよし

○◎★ 伽羅といふ香聞き分けて春の闌く     中川 晴美

○◎★ 賑やかに野点の仕度藤芽吹く       伊藤 とら

○○★ 待ちわびし句集届くや桜餅        岩田 一行

○○★ 電車待つ小説に降る桜蘂         谷野由紀子

○○★ 祈る手に桜散りつぐ稲荷堂        中川 晴美

○★ 聖天に鳥声ゆたか藤芽吹く        谷野由紀子

○★ 香を聞きつつ春闌の集ひかな       伊藤 とら

★ 晩春の部屋に香聞く集ひかな       小川ひさこ

★ 伽羅の香を聞く晩春の昼下り       和田きよし

★ 晩春のひと日を藤の棚の下        伊藤 とら

○○○◎☆ 行く春の聞香に添ふ細き指        中川 晴美

○○○☆ 伽羅の香を手に持ち帰る春の道      早川 紋子

○○☆ 青空に染まずさくらの白さかな      早川 紋子

○○☆ 行く春の院に読経の響きけり       中川 晴美

○○☆ 花筏鯉悠然と泳ぎたり          小川ひさこ

○○☆ 味噌にほふ分葱のぬたや浪速の夜     和田きよし

○☆ 花桃や池に映えたる龍の像        小川ひさこ

○☆ たけのこの産毛優しや店の棚       長谷川 稔

○☆ 花も人も再会約し散りにけり       伊藤 とら

☆ 白木蓮その灯は誰のため        宇佐美なほ子

☆ 晩春の八坂の塔に上りけり        谷野由紀子

☆ 晩春や花びら乗せてまはる池       早川 紋子

○○○○○◎◎△ 幼子の一歩確かに花万朶         乾  玲子

○○○△ 浮雲や父にたむけし花しょうぶ      乾  玲子

○○△ 酒蔵の壁黒ずみし暮の春         小川ひさこ

◎△ 満開の花ゆさゆさと揺れにけり      岩田 一行

◎△ 仏生会一と日信者として過ごす      粂 信一郎

○△ 咲き満ちし桜が隠す武者の太刀      長谷川 稔

○△ 僧と言へどもこの時期は花粉症      両角たて夫

○△ 春色の靴の売り場へ手を引かる      長谷川 稔

○△ 芸もなき我でありしが花化粧       モラ坊円瓢

△ 車繰りつつしばらくを花見かな      粂 信一郎

△ 筍の肌山城の土つけて         宇佐美なほ子

△ 夜桜の浮き立つは死の色かとも      モラ坊円瓢

△ 踏むまひぞとて芽吹きたる庭歩く     早川 紋子

△ 彼の人のため息のごと桜散る      宇佐美なほ子

△ 春過ぐるてふは加齢と同義にて      粂 信一郎

△ 米寿なるたらちねの背に花吹雪      乾  玲子

△ 青梅の枝にびしりと雨雫         両角たて夫

△ 朝の日のさして消えゆく斑雪      宇佐美なほ子

△ 早起きは三文の徳初桜          両角たて夫

△ 病室を見舞うて花を愛であへり      モラ坊円瓢

△ 晩春の影を濃くおく池の底        岩田 一行


芳しい匂いにふれ心身とも癒されながらの句会となりました。

朝妻主宰は法事のためご参加いただけませんでしたが、そのご多忙の中FAXにてのご指導をいただきました。 

今回初めてご参加下さいました岩田、乾、早川さま楽しく学んでいただけましたでしょうか……。 生憎主宰ご不在という折ではございましたがご参加いただきありがとうございました。

次回は五月二十一日(土)、二時半からです。 兼題は「杜若」、「風薫る」「自由題」の三句。皆さまのご参加をお待ちいたしております。

                                                                         中川晴美(雲の峰)
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