「まんぼう観音」さま?



「まんぼう観音」または「モラ観音さま」というのは、我々MONKフォーラムの専属キャラクターであり心の支えでもある。では、この非常にレア性の高い(と言うか地上初?)ユーモラスな観音さまは、いかにして誕生したのだろうか?


我々のミッションは「楽しく仏教と遊ぶ」、「いま仏教を生きる」などのリラックス系から「寺院復興」やら「仏法拡散」、「21世紀に生かす仏教」などの大真面目系、果ては「お寺の敷居を低くする」や「仏教のユニバーサルデザイン」などのちょっと洒落た系まで、実に様々な表現がなされている。どれもが嘘偽りのない我々MONK衆の本心から出た行動目標なのだが、ともすれば何となく形式ぶった風に取られないこともない。または、あまり統一性がないと見られる恐れもあった。人から尋ねられても数時間もらえれば逐一説明ができるが、このご時世そう甘くもない。

よって、それらを大きく「雰囲気として」まとめてくれるイメージキャラクターとして、独自のものを作ろうという話が、円瓢・空石の両創業者の間でかなり長い間議論されていた。「名刺にも刷り込んで俺らのシンボルにしようや!」そう決めた我々は、具体的にどのようなものにするか悩んだ。寺のマークがよいのか、仏具をデフォルメしたものがふさわしいのか。或いは数珠をシンボル化したようなものがよいのか。いや、梵字なんて案外いぶし銀ではないのか?いや、「引かれる」とまずい…。そうは言ってもやはり仏像だろう!…。となると、如来か菩薩か明王か天部か?祖師方という手もあるぞ。悪鬼なんて意表をついて可愛いかも…。いつもどおり楽しく悩みながら、1年が経過した。

だが、本当に大事なものごとが決まるときは一瞬で決まる。つくづくそう思う。

ある晩に円瓢宅で1泊2日の「MONK合宿」(我々は結構頻繁にこれをやる…ええ社会人ですとも、既婚者ですとも)を行っていたときのこと。「やはり、MONKのヴィジョンを体現するのは仏やな!」ということになり、かつ、「最も親しみやすい『観音さま』がええ」と決まった。すると、「親しみやすいと言えば、以前に醍醐寺(京都六地蔵)と総持寺(大阪府茨木市)とで出会った『亀に乗った観音さま』が抜群やな。可愛い動物に観音さんが乗ってるなんて、ちょっと間が抜けてて俺らにぴったりちゃうか?」「そうやな!それは親しみやすいわ!」と一気に決まってしまった。

では、何の動物が適当か?何の上に観音さんは乗るべきなのか?

「…魚やな、はっきり言うて。」空石の答えはすぐに返って来た。「俺、こないだ海遊館(大阪にある巨大でとても楽しいテーマパーク的な水族館)に行って来たのやが、魚はごっつええで。ゆーらゆーらと大海原を泳いでて、マイペースな感じが素敵や。でもな、やつらの『正面からの顔』見たことあるか、円瓢?ものすげえ怖いで!この世のものとは思えんぐらい、何か『異物』になってて、俺は見てて緊張したわ!」

そ、それは素晴らしい。すぐに「魚類」に決定した。「いるかに乗った少年」ってのはいたが、「魚に乗った観音」はいるまいて。では、魚種は何がよいか?「…まんぼうやな。」今度は円瓢が即座に提案した。「あの中途半端な形は、『実はこれはもっとでかい生物の一部』みたいな気さえして、圧巻や。」なるほど。「しかも、めずらしいはずやのに結構網にかかったりしてあっさり食べられてしまったり、億単位で卵を生んだりと、諸行無常を身体を張って示してくれてもいる。…とにかく含蓄の深い魚や。」

そうして決まった我らが「まんぼう観音」さま。2004年の3月のことであった。そして誰に描いてもらうか、で、二人は1秒も躊躇せずに同時に叫んだ。「牧宥恵しかおらんやろ!」と。それは一体誰なのか!?

…この風流な画僧との邂逅は2002年12月29日にさかのぼる。その日我々は恒例の「年納め地獄ツアー」を無理やり敢行、和歌山の奥深く、根来寺に詣でていた。大晦日にあと少しのこの中途半端な時期に寺に来る酔狂人は少なく、新義真言宗の大本山の境内にも、我ら以外の人影はまさに数えるほどであった。ここでは、その逸話とともに拝めば感動で打ち震える「錐揉不動」や、読み聞かせられた幼児は腰を抜かすであろう入魂の絵本「覚鑁さま」など、素敵なアイテムと大量に出会えた我々だが、最もイカシタ出会いは、牧宥恵とのそれであった。詳しいことは(空石による根来寺紀行文
へどうぞ。「いつか宥恵のおやじに何か描いてもらおうぜ!」と我々は心に決めていたのだ。

…気がつけばそれから1年半近くが経過。機会はやってきたのだ。「では空石、いつ行けるか日程を調整して連絡してくれ」と円瓢が確認して、その日のMONK合宿は終わる。

その2日後、円瓢に空石からメールが届く:「おう、さっそく牧宥恵に会うてきたで。まんぼう観音も2枚描いてもらってきた。添付する。」おぉおうう!?どんだけ「さっそく」やねーん!?平日に根来の里まで行って来て(しかも嫁はん連れて)我らがモラ観音さまを早々にゲットしてくるとは、何たる行動力か、空石!?それでこそ俺の相棒!円瓢は興奮しながら添付のJPGファイルを印刷し、自宅の壁に貼った。これはレアや。しかもキュートや。しかもちょっとブキミや。上出来!そしてその8ヵ月後の12月、円瓢自らが名刺をデザインして、ネット名刺屋に注文して出来上がってきた「作品」を見たらまた感動した。嗚呼、仏教万歳。

 

「必要とあらば、今すぐに慈悲の手を差し伸べよう!ただし、まんぼうに乗ってゆったーりと行くから!」

という、微妙に脱力している感じがごっつうええ感じや!

これで、我らがMONKサイトのトップページのみならず、名刺、リーフレット、そしてニューズレター、さらにはマーチャンダイズ(いや、俺らならできると思うで、Tシャツに始まり…)に至るまで、全てにこの絵を付すことが運命付けられたと断言できよう。

根来での縁は、確かなものであったな。根来に行ったときの犬鳴山温泉で、MONKは誠に明確にビジネスのモデルが出来たのやが、そのときからこの縁は用意されていたということになるわな。祝!

…後日談。その名刺が刷り上った日から1週間後に、これも何かの縁でしょう、和歌山の宥恵さんが東京の銀座にやって来た。デパートで行われる「名僧墨蹟展」にゲスト出演し、1時間弱の法話も行うという。招待のはがきをもらった円瓢(当時は所沢在住)はもちろん行った。法話後、多くのファンの相手が終わったあと宥恵さんに歩み寄り名刺を見せると、「へぇ~、こういう風になったか、俺の絵は…」と満足そうに笑ってくれた。その後はファンのみなさんに混じって夕食会にまで参加させてもらった。

いいものには、ものがたりがある。モラ坊観音さまも、いい人の縁と仏の縁で生まれたのさ。
南無興教大師。

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