南の南(2013年2月・沖縄県那覇市・護国寺)

2月なのに日差しが痛い。
そりゃそうよ。
なんてったってここは南国、沖縄なのさ~。
仕事の間隙をぬい、さらに南に。
目指すはただ一つ。何はともあれお寺である。
沖縄で最初にできたといわれるお寺、護国寺を参った。
 
沖縄における宗教というのは、かなり複雑だ。なんせ昔は日本ではなく、琉球王国。仏教や神道ではなく、祭政一致の琉球神道が信じられていた。
地域の聖林を祀る御嶽(うたき)信仰というものがあり(今で言うパワースポットですな)、そこでノロといわれる祝女が、祈りを捧げるのだという。
仏教も中国との交易や薩摩の影響で、少なからずあったのだが、琉球人の信仰の根底に流れるのは、土着の信仰をもとにした琉球神道であった。
ゆえに、沖縄における仏教は日本のどこよりも存在感が薄い。沖縄では亀甲墓といわれる一族が眠る巨大な墓があり、そこに家族が葬られる。つまり、お寺の個人墓という概念は近年のものらしい。
 
うんでもって、護国寺です。
1368年に創建されたという。しかし、真新しい感じ。
 
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お寺は太平洋戦争のときに、全焼。建物は戦後の再建です。
この島は歴史の荒波に翻弄されてきました。
琉球王国は、薩摩に支配され、日本に沖縄県にされ、戦争に巻き込まれました。敗戦により、

1972年5月15日までは米国領でした。今でも頭上では、米軍機の爆音が聞こえます。
 
観光名所でもないためか、本堂は熱心にお経を唱えるおばぁが一人。沖縄ならではなのか、堂内は畳ではなく、タイル敷き。ひんやり冷たい感じは、いつかのイスラム寺院のようでした。
 
寺務所では、ご住職のご家族のかたがおられたので話をうかがいました。お寺は高野山真言宗で、住職も高野山で修行されたのだといいます。
あの寒いことこの上ない霊山から、常夏の島へ。
ある意味、シュールな話です。
でも沖縄でお寺って、どうなんでしょう?
 
「民間信仰がまだ根強いんですよ。何か不吉なことが起こると、『ノロのところに行って、祈ってもらわねば』というかたがいまだにおられますよね」
 
そういう意味では、ちまたのヒトは、いわゆるわれわれが迷信といって、切り捨ててしまったものを大事にされていることか。
家の屋根にはシーサーの置物。三叉路の突き当たりには、魔除けの石敢當という石板が建てられていたり。都会では見られないしきたりが、ほうぼうで見られるのが沖縄か。
 
少し沖縄事情に触れてうれしくなったのだが、そもそも私がこのお寺を選んだのは、ある小説の影響だ。
池上永一著のNHKでも放映された『テンペスト』。
 
舞台は琉球王朝。主人公が外国語を習得するために通ったのが、ベッテルハイムという英国の医師で、彼が軟禁されていたのが護国寺であった。だから、彼の石碑まである。
 
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小説の中では、気の短い宣教師として主人公に知識を与える善人として描かれる。ただ事実はどうか。列強の先兵として沖縄に上陸し、日本の状況を逐一本国に報告していたのであろう。彼は8年間、那覇に滞在した後、ペリーの来航にともなって、日本を離れ、のちに米国に移住。南北戦争では医者として活躍し、そこで生涯を終えたという。
 
それはさておき、小説は実によく書けている。
読み進めると、琉球王朝のきらびやかな有り様が鮮明に呼び起こされる。
先のお寺の方も言われる。
 
「このお寺にしてもそうだけど、このあたりのことがそのまま小説になっているのよ。このあたりの小学校には尚君がいて、彼は本当に王家の血を引いてるんだから。だから、あの小説が本当か作り話なのかわからないようになるのよ」
 
わかります。多分池上さんはこのあたりをみっちり取材して、書かれたんでしょうな。だから、主人公のモデルらしき方の碑も孔子廟の隣にありました。
 
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ちなみに、主人公は女の性を偽って、宦官として王宮に入るという奇想天外なストーリー。小説とわかっちゃいるけど、時間を忘れるほど引き込まれてしまいます。
 
これ、ホントですよ!
 
そして最後は沖縄の絶景を。
 
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護国寺
 沖縄県那覇市若狭1丁目25-5
 ゆいレール・旭橋駅から徒歩20分
 市内バス・西武門(にしんじょうもん)駅から徒歩3分
  電話098-868-1469
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